はるけき きみに  ー 彼方より -
 マシューは馬の横腹を蹴った。
 夕暮れ時で次第に視界が悪くなる。
 こんなときに怪しい舟を追っていくなどと!

 紫音の顔を浮かべた。
「大人しそうだと思ったら、とんだ tomboy だ」

 と、夕陽を受ける川面に何かが映っていた。
 目を凝らしてみる。
 川舟のようだった。

 先を行く舟は屋根がついている。屋形舟というやつだ。
 それを追うようにもう一艘の舟が進んでいた。

 後の舟の荷物の陰には・・。
「その tomboy がいるじゃないか!」

 紫音の姿がはっきり見えた。
 積み荷の陰に隠れるようにして先の舟を追っている。

「・・ったく!」

 辺りを見回した。
 川辺に降りられる所を探した、だがそんな坂がない。

 チッと舌打ちをしてまた馬の腹を蹴った。
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