はるけき きみに  ー 彼方より -
「それよりあの娘らのことだ。無事を親元に知らせよう。この時間は役人の仲間が街道を見回っている。彼らに連絡を取らせるのだ」

「そ、そうだな、まずはそれだな」
「行ってくれないか、あの者らを呼びに。俺はここを見張っているから」
「ああ、わかったよ」

 駆けて行く彼を見て、田中が多鶴の側に寄る。
 耳元で何かを告げていた。

 多鶴は驚いて顔を上げ、そんな彼女に微笑みかける。

「・・あらあら」
おもわず紫音が、
「田中さんは助けたって訳ね、石川さんの説教から」

 二人がはっとしてこっちを見る。
 田中が照れたようにわらい、多鶴は戸惑って下を向いた。

「やっぱりそういう事だったのね。大丈夫よ、石川さんには言わないから。馬に蹴られて死にたくはないもの」
 恥じらった二人につい調子に乗って言う。
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