はるけき きみに  ー 彼方より -
 数日後、石川と田中が八重の屋敷を訪れた。
 丹波の位牌に合掌してなにかを報告していた。

 八重が茶の用意をして座敷に呼ぶ。
 迎えた紫音とマシューに、
「今日こちらに伺ったのは、丹波様へのご報告もさることながら」
 と切り出した。

「実は、重大な知らせがあるのです。これはまだ極秘事項で、口外されないようお願いした上での話なのですが」
「この付近で物騒なことが起きるかも知れない、そんな事態になりつつあるのです」
 交互に話す声が緊張している。

「物騒な事態って?」

「戦さ、です」
「最悪の場合、大勢が血で血を争う戦いになりましょう」

「なんですって! それは誰と誰が戦うことになるの」

「両陣営に別れた戦さです。その片方は菱屋、だがこれはほんの手先にすぎません、実際には菱屋の後ろにいる黒幕です」

 菱屋は手先で、背後の黒幕に動かされている、それは前から言われていたことだった。
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