はるけき きみに  ー 彼方より -
「そんなに怒らなくても。ああ、だったら毎日紫音を英語漬けにしようかな、朝から晩までね」
「え、英語漬けって・・」

「英語だけで会話をするんだ。そうすればあっという間にしゃべれるようになるよ、いつもそばにいてね。それってすごく楽しいことだろうな」
「あっという間にって、無理よ、そんなこと」

「大丈夫さ、どうってことはない。俺たちの国では小さな子供でさえしゃべっているんだからね」
 そういって肩を上下させた。

「ち、小さな子供ですって」
 力を抜けという仕草には気付かずに、
「もうっマシューったら、私をバカにしているでしょう」
 こぶしをふり上げた。

 彼はそれを受け止めた、そして紫音を抱いた。
 至極自然な動きだった。

 抱きしめられて、初めてその体制を意識した。

 心臓が早鐘のように打っていた。


           ◆  ◆  ◆
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