はるけき きみに  ー 彼方より -
 翌日の商談はオランダ船で行われた。

 堺の商人が多数乗船してくる。
 先導しているのはあの近江屋だ。

「こんなに大勢になったのか」
「あ、いや、参加するのはやはり大勢がいいと思ったものでしてね」

 先日はもうけを独り占めしたいと言っていた。
 その近江屋が彼らに愛想を振りまいている。

 察するに紹介料をもらったのだろう。しかもその頭の下げ方から半端な額とは思えない。


 船長のクレイプが彼らを迎えた。

 マシューとサジットが互いの間に入る。
 簡単な挨拶からすぐ商談に入った。

 船倉に時計などの機械類が並んでいる。その奥に食料の麻袋、薬の類。
 マシューはあらかじめそれらに値札をつけておいた。
 クレイプの言い値の金額だ。

 商人がそれを見た。
 とたんに黙り込む。
 目を光らせた彼らは、別のなにかを探しているようでもあった。

 クレイプがそれに気付いた、だが素知らぬふうをしてやり過ごす。
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