きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜
休み時間になるなり、綾香は瞬殺で寄ってきた。
「はっきり言うね、羽音愛!」「う、うん・・・」その迫力に気おされながらも返事をする。「羽音愛、月音くんが好きでしょ!」「へ・・・」すっとんきょうな声が出た。
「見てればわかる!いつの間に好きになったのよぉ~」「すっ、好きっていうのかな?ああいうの。感覚、わからないって。」焦りつつ答える。
「胸がドキドキするもしくは、きゅんとするつまり何とも言えない苦しさっていうの?そういうのが来るとか顔が熱くなるのだとか気持ちが落ち着かなくなるのだとか・・・そういうのを恋心っていうの!にぶいんだから。羽音愛は。」「そ、そんなこと言われても困るよ。恋なんてしたことないんだから。」赤い顔を隠すようにうつむいてセーラー服のリボンを右手でぎゅっと握った。
「とにかく、まあ私たちも協力するからさ。だって羽音愛、香波さんたちのグループたちがするような薄い恋とは違うでしょ?」「うーん、まあ、そうだね・・・」よくわからないよー!
「でも、この気持ちをどうしたらいいかわからない・・・・」よくある物語では、クラスの人気者と地味な女子が結局勇気を出して告白して俺も好きだったとかいってハッピーエンドって感じだけどどうなんだろう?さすがにそれはないだろうけど。
私はその日、放課後図書館に行って恋愛ものの小説をたくさん借りた。両手いっぱいに小説を抱える。バッグ、持ってくればよかったかな。恋愛の感覚をもっと知りたくて借りてきちゃった。まあ、物語と現実は違うだろうけど。
家のドアを開けるとお母さんがキッチンから顔をのぞかせた。
「あ、羽音愛、おかえりー。夕飯、できているわよ。テーブルで待っていてね。」
「はあい・・・・」返事をして、小説をダイニングテーブルに積み上げた。
「あら、なあにそれ?」お母さんはすぐに聞いてきた。「あ、えーと・・・・とっ、友達と帰り、図書館寄ったんだけどその時におススメしてくれた本、借りてきちゃった。」とっさにウソをついた。なんだか本当のことをいうのは気恥ずかしかったから。
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