きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜
「ねえねえ、羽美、聞いてよ!」「どうしたの?ゆずは。そんなに怒って。」
「だってさ、衣川羽音愛があーんなオシャレなんか興味なくって流行に対してもにぶいくせに亜希様を狙っているし、あたしたちは先生に怒られるし?マジむかつく!」
みんなは苦笑いを浮かべる・・・と、思いきや、思いっきり同意していた。
「ね、ほんとそう!あんなキャラで好きになるなって。自分のこと世界で一番かわいいとか思ってるんじゃないの?」夕暮さんが一番最初に同意すると、ほかのみんなも同意した。「私たちに怒られてほしいとか?だとしたら相当趣味悪い・・・・」こそこそと、悪口を言い合う香波さんたちは私の目に、わるい言い方だと思うけれど、悪魔としてうつった。
本当にいやになる。みんな気にしなければいいっていうけど気にしなければいいだとか、意識しないで、かかわらないでだとかいう言葉は逆効果で余計目に付く。心に刺さる悪口や行動をされるとそう簡単には意識しない、という行動はできない。それは悪口だけじゃなくても好きって気持ちでも当てはまる。・・・・月音くん・・・・
ふと月音くんの顔が脳裏によぎった。恋愛って理屈じゃない。そんな言葉が恋愛小説にはよく出てくる。今になってその意味が痛いほどわかる。
第一、私が月音くんが好きどうかなんて、この気持ちがなにかなんて詳しく説明できないし、言葉にあらわせられない。好きかどうかもはっきりしないし、月音くんのこともよく知らないから、恋心に当てはまるかどうかもまるでわからないのだ。
「ねえ、私ってさ月音くんのことが好きなのかな?」そう口にすると、綾香たちは一度顔を見合わせて・・・・・「さあ、どうだろう・・・その人の気持ちはその人にしかわからないし、ましてや恋心なんて羽音愛にしかわからないんじゃない?」と、綾香はいう
「・・・だよね・・・でもみんなは好きな人ができたら、めっちゃその人の話をしてみてはドキドキして・・・・っていう感じだけど私にはそれがないから、どうなのかなって思って。」すると友香は、どこか大人びた口調で返事をした。
「恋愛にもいろんな種類があると思うよ。ひそかに思いを秘めている人もいれば、思い切りかわい子ぶってアピールしたり、それまではいかなくても自分磨きに精を出す人もいるし。」それを聞いてすっと、胸につかえていたもやもやが抜け始めた気がした。
恋愛って難しいと、改めて思う。綾香が後藤先輩をデートに誘えないのも、心の中にもやもやが蓄積しているからなのかも。
「ねえ、綾香・・・・」「なに?」「私・・・・香波さんに、言おうと思う。」
「え、言うってなにを?」目を見開く綾香。「実はね、あの一見一件以来、香波さんにいやがらせっていうかからまれてきてるんだ。」
「ここ数日香波さんたちは、私の悪口をわざと聞こえるように言ったり睨んできたり、わたし私が委員会活動で同じ委員だから月音くんと話していてもにらんでくるんだ。それがすごく嫌でたまらなくて・・・・・だから、ちゃんと面と向かって私は香波さんたちに悪いことをしたつもりなんてないし、そういうのは迷惑だって、言わなくちゃいけないと思って。」
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