君といた時間は死んでも忘れないよ

■■の記憶








これはあの二人を見続けていた■■の記憶である。
■■はここに良くやってくる二人を今日も見つける。その二人は石段に腰掛けていて、まだ肌寒い季節だからなのかお互いに寄り添っている。■■が二人の近くにいるからか、二人の声をしっかりと覚えているのだ。
『綺麗……』
『綺麗だね』
二人は前を見ながら、ここに何回も来ているというのに、またもや同じ言葉を繰り返す。■■はこの言葉を聞き慣れてしまった。けれど、ここに訪れる誰よりもこの二人の言葉を望んでいるのは紛れもない■■だった。
二人はお互いの顔を見ながら、小さく笑いあっている。■■は本当にあの二人は幸せそうだと思った、いや〝そうだ〟じゃない、本当に〝幸せ〟なんだ。■■はまた次も来年もあの二人にここに訪れてほしいと思った。けれど……。

──────────この日を最後に、あの二人が一緒にここに訪れることはなくなった。







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