クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
「…結婚はします。だけどひとつだけ。人前では、仲の良い夫婦でいたいんです」
「ああ。努力しよう。おまえはどうにも父親に気を使っているらしいな」
「ご存知とは思いますが、元婚約者との事で色々あったので。もう余計な心配はかけたくないんです」
「あのストーカー野郎か。その件についても、俺と結婚するからには跡形もなく片付けてやると約束する」
「それはとても心強…って、なに!?」

突然、がしりと腕を掴まれたかと思えば、袖を捲られるから驚いて身を引く。
しっかりと捕らえられていて全く距離を取れずにいると、大慈さんはそっと肌に触れた。

「痕は残ってないな。きちんと医者に診てもらったのか」
「あ…え、ええ、まあ…」

真司さんに思い切り引っ張られて傷ができた方の手だ。
心配…してくれてたの?
きょとんとしていると、大慈さんが顔を上げ険しげな顔をする。

「なんだ? まだ何か不満か?」
「いいえ。 大慈さんって、意地悪なのか優しいのか分からなくて」
「…別に。俺が関わる案件で不祥事を起こしたくないだけだ」

ぱっと手を離してバツが悪そうに視線を逸らす様は照れ隠しにも思えたけれど。
顔の怖さと気迫は増している…。
大慈瑛輔。よく分からないわ、この人。

こうして私は、冷酷なエリートSPが持ち出した最高に恵まれたタイミングの、最悪に無慈悲な結婚を受け入れたのだった。







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