クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
大手と言われる医療機器メーカー、文月ホールディングスの社長として奮闘する父の姿は、幼い頃から見てきた。歳を重ね、最近はその背がずいぶん小さく見えることも増え、そこにこの着服事件。そうでなくても気苦労が絶えなかったのは父も同じだろう。

水谷真司(しんじ) は、2ヶ月ほど前まで私の婚約者だった。
文月の長女である私と、水谷製薬の御曹司だった真司さんとはいわば政略結婚を見据えた婚約。1年前初めて顔を合わせた時は、これからパートナーとして共に歩むことになるだろ彼との未来に私も前向きだった。もとより社長の娘として生まれた時点で、会社のための良縁を結ぶのが私の役目だと思って生きてきたのだ。

家同士の繋がり重視とはいえ、それもご縁、叶うのなら夫とは暖かい家庭を…なんて考えは甘かったのだと現実を思い知ったのは、婚約から間もなくのことだった。

婿養子として迎えるため、文月ホールディングス本社の営業部に配属された真司さんの素行の悪さが露見しだしたのだ。
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