クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~


瑛輔とは付かず離れずの生活が続き、結婚式を迎えた。

着替え、ヘアメイクも済ませると親族控え室で瑛輔のご両親と初顔合わせだ。
瑛輔は自分の家族の話をしない。私も掘り下げて聞いたりはしないけれど、なんとなく避けているようにも感じるのだ。
お見合いの時も、瑛輔と一緒にいたのはお祖父様だけだった。

「瑛輔の父です。この度は、息子と結婚してくれてありがとう」
「お義父さま、お義母さま、初めまして。文月凜です」

まるでビジネスの会話みたいだ。ふたりはあからさまな嫌悪こそないけれど、歓迎してくれている様子かと聞かれたら頷けない。

「兄貴は飛行機が遅れているらしく披露宴から参加するって。すまない、ここで挨拶を済ませるはずだったのに」
「大丈夫。気をつけていらしてくださいって伝えてね」

瑛輔もご両親と対面した時からピリピリしている。やっぱり、あまり仲が良くないのかもしれない。

「凜さん、夫婦のことにあまり口を出すつもりはないのだけれど、ひとつ確認させていただいてもいいかしら」

お義母さんがゆったりとした口調で話す。裏腹に表情は硬い。
隣で瑛輔は眉を顰めた。口を出すつもりがないのなら何も言うな、とでも言いたげだ。

「妊娠や出産についてはどこまで考えていらっしゃるの? 子どもを持たないなんてことはないわよね?性別はどちらでも構わないから、女性は年齢のこともあるし早めに産むのがいいと思うわ」
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