クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
全く予想していなかったわけではない。お家柄が厳しいと跡継ぎ問題がややこしく絡むというのは、社長令嬢として育ったから分かる。しかし顔を合わせて一発目の話題に持ち上がるとはおもわず面食らった。

どう答えるべきか。もちろん子どものことなんて考えているわけがない。瑛輔と私はそういう関係ではないのだ。ただ、瑛輔のご両親にとってはどんな因果の婚姻だろうと子どもについては別の話なのだろう。

「母さん、いきなりそれは失礼すぎませんか? 子どものことは俺の問題でもあるし、結婚したら子どもを作るものなんて考えは古いですよ。心配しなくても、夫婦のことは俺たちで決めると言ったはずです」

私が迷っているうちに瑛輔が淡々と言った。お義母さまと相対する瞳に感情は見えない。
私は瑛輔に乗っかる形で続けた。

「私も、子どものことは瑛輔さんとしっかり話し合いたいと思っています」

これで納得いただけるだろうか。たぶん無理だけれど、現時点でこれ以上に言えることはない。瑛輔は何も言わなかったけれど、子作りの話は前からせっつかれていたんじゃないだろうか。
瑛輔の返答はごくシンプルで、淀みのないものだった。

「まあ、その辺のことはふたりに任せよう。そろそろ時間じゃないのか? 瑛輔、凜さん、もう行きなさい」

引き際が分からず空気が重くなったところに口を挟んだのはお義父さまだった。

退室してすぐ、瑛輔はなおも硬い声で「気を悪くさせたよな。ごめん」と私に詫びた。

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