家族と

「お父さんも、碧と話し合ったんだけど・・・・妃愛のためにもそれが一番いいだろうと思ったんだ。顔馴染みの方が家族として打ち解けやすいだろう？」
「うん、そうだけど・・・でも、本当によかったの？それって私のことを考えた結果ってことだよね？」
思わず不安になる。
お父さんは、私のためにって言ってる。
お父さんは、他の相手を探しても良かったのに。もし、私のせいで我慢をさせているんじゃないかと思ったら、居ても立っても居られない気持ちになった。
「いいんだ。・・・碧は、お父さんの中学校の同級生で、ずっと好きで、妃愛のお母さんで、お父さんの妻だった、咲羅と結婚してからも友達として連絡を取り合っていたんだ。だから、これは・・・なんていうか・・・再会、的な？」
微妙に恥ずかしそうなお父さんを見て、なんだか微笑ましくなってしまう。
「うん、いいよ。私のお母さんを、碧さんにしても大丈夫。」
「そうか？そう言ってくれてお父さんはとても嬉しいよ。妃愛は優しいな」
そんなふうに言ってくるから、私はじーんと感動してしまった。
「そうかな？ありがとう。」
「それで、もう一つ言うことがあるんだけど」
私が頷くのを見て、お父さんは続けた。
「碧の方の家に行こうと思うんだ。それでいいか？」
「うん、いいよ。」
私は大きく頷いた。
これでお話は終わりかなと思って立ちあがろうとしたら、お父さんに止められた。
「・・・ちょっと、まって。あと一つだけ。本当に最後にひとつある。」
私はその言葉を聞いて、お父さんと目を合わせた。
「何？」
「それでな・・・碧の家にも、お子さんがいるらしくて、妃愛と同い年らしくて、男子なんだけど・・・」
「え？なんだそんなこと。やけに言いにくそうにしてるからもっと重要なことかと思った。」
「それで、妃愛と同じ学校らしい。奇遇だな。それでもいいか？」
「え？もちろん。」私はなんの躊躇(ためら)いもなく頷いた。
・・・・この選択が、私の恋愛を、悩ませるなんて思いもしなかった。