The previous night of the world revolution5~R.D.~
それだけではない。

これまた隣国アシスファルト帝国でも、不景気が続いている。

アシスファルト帝国で長年覇権を利かせてきた大企業が、事業の失敗によって失脚し。

その傘下にあった系列企業も軒並み大ダメージを受け、結果、アシスファルト帝国全体が不景気の波に飲まれた。

ルティス帝国経済とアシスファルト帝国経済は、昔から密接した関係にあった。

そのせいで、アシスファルト帝国国内にあるルティス帝国系企業も、大きな打撃を受けた。

従って、アシスファルト帝国の道連れになるかのように、ルティス帝国経済も低迷している。

目覚ましい発展を遂げつつある箱庭帝国とは裏腹に、ルティス帝国とアシスファルト帝国は、仲良く一緒にすってんころりん。

これじゃあ気分も悪くなるよ。

別に誰が悪い訳でもないけどさ。ルアリスの奴が上手くやってるのはちょっと憎いけど、それだってあいつの努力故だし。

それを妬むのは筋違いと言うもの。

「確かに不況は痛いけど…ルレイアにも何か影響があったの?」

「あるんですよ、それが」

俺が溜め息をついていたのは、そのせいなのだ。

「この不景気でしょ?皆お金を使いたがらなくて。うちの系列風俗店が、軒並み売上低迷中でして…」

「…あー…」

景気が悪くなると、どうしても皆「守り」に入る。

うちは特に、金持ちの上客だけを扱う風俗店だし。

金持ちってのは、したたかでケチだからな。

懐が怪しくなってきたら、妖しい店への出入りも少なくなる。

お陰で、うちは商売上がったり。

良い迷惑だよ、全く。

「そうなの…。それは大変ね、ルレイア…」

「まぁ仕方ないだろ。この際いくつか店を畳んだらどうだ?」

「そうですね。いくつか整理しようと思ってるんですよ。どうせ店を潰しても、嬢は全員俺の女だから、抱こうと思えばいつでも抱けるし…」

「…悪魔だな、お前…」

え?ルルシー何か言った?

きっと俺の聞き間違いだ。
< 13 / 627 >

この作品をシェア

pagetop