The previous night of the world revolution5～R.D.～

庭園を散策した後。

僕達は、日陰のテラスでお茶をすることにした。

使用人が、ティーカップと、色とりどりの果物を使った、あらゆる種類のケーキが乗ったケーキスタンドを僕達の前に置いた。

「まぁ、なんて美味しそうなんでしょう」

マリアンナは、両手を合わせて嬉しそうに言った。

…そんな仕草をするように、躾けられているのだろうか？

あざといと言うか、何と言うか…。

「殿下は、どのケーキになさいます？」

「さぁ、どれでも。先に選んでください」

「まぁ、殿下はお優しいのですね。ありがとうございます。では、お言葉に甘えて…」

マリアンナは、まるで狙っていたかのように、ハート型のタルト生地の上に、ふんだんにイチゴを乗せたイチゴタルトを選んだ。

わざと可愛らしい、少女らしいケーキを選ぶように言われているのだろうか。

考え過ぎとは思えない。

さっきからこの人、ずっと…。

…ずっと、練習に練習を重ねたかのような笑顔をしているから。

こんなもんなのか？貴族の息女っていうのは。

「殿下はどれになさいます？」

「あぁ…はい」

僕は、手前にあるチョコケーキを取り皿に取った。

「チョコレートがお好きなんですか？」

「今日の気分ですよ」

別に、特別チョコレートが好きって訳じゃない。

早く、下らないこの茶番みたいな時間が終わらないかなって思っているだけだ。

マリアンナ少女は、丁寧にケーキを一口に切り分け、口に入れた。

「まぁ、美味しい。とても美味しいですわね、殿下」

「…そうですね」

僕は同じもの食べてないから、味、知らないけどね。

特にこちらから話しかけることもなく、ただ黙々と食べることに集中する。

それでも、マリアンナ少女は涼しい顔。

少しも戸惑うことなく、続けざまに僕に話しかけてきた。

「そうですわ、殿下。殿下のご趣味を教えて頂けませんか？是非聞きたいです」

…趣味？