エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
 優茉を迎えに行き、部屋に荷物を置くと紅茶を淹れてソファへと誘う。
 「今回の事は本当に申し訳なかった。全く気づかず優茉一人に辛い思いをさせて...発作もそのストレスのせいだよな?」
 「...どうして発作の事を?」
 「たまたま結城に会って聞いたんだ。さっき、優茉を迎えに行く前に加賀美社長と会ってきた。彼女がした事を秘書の男性も含めて社長も何度も謝っていた。正直、優茉をそこまで追い詰めた事は許せない。でもこれは俺のせいでもあるから...本当にごめん」
 「先生のせいではありません。家を出たのも、私が自分で決めた事なので...。でもこれで、麗奈さんとお見合いをさせられることはないんですよね?」
 「もちろん、その話も白紙に戻してもらった」
 「よかったぁ」
 自分はあんなに辛い思いをしたのに、今も俺の心配をし心から安心したようにそう言う優茉をたまらず強く抱きしめた。
 「優茉、好きだ。仮なんかじゃなく、本当の婚約者になってくれないか?」
 俺を映していた瞳は、みるみる潤んでいきぽろっと雫が零れ落ちた。
 「私も...私も、先生の事が好きです。大好きです」
 「優茉...本当にありがとう、俺を好きになってくれて」
 親指で頬を伝う涙を拭って、彼女の唇にそっと自分のを重ねる。ビクッと身体が揺れて、ゆっくりと唇を離すと大きな瞳をぱちぱちさせている彼女と目があった。そして顔を真っ赤にして俯く。
 「優茉、もう二度とストレスで発作が起こる事がないように、一人で抱え込まないって約束して?」
 「はい、先生も何でも話してください」
 「うん。じゃあ優茉、そろそろ名前で呼んで?」
 「あ...柊哉、さん」
 「今度家で先生って呼んだら、優茉からキスしてもらうから」
 「え⁈...き、気をつけます」
 「ふっ、気をつけなくてもいいよ?」
 その夜は、もう二度と離れないよう優茉を強く抱きしめて眠った。久しぶりに彼女の体温を感じながら眠りにつく瞬間は、言葉では表せないほどの幸福感で心がいっぱいだった。
< 50 / 109 >

この作品をシェア

pagetop