エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
 髪の毛を乾かしてあげると嬉しそうに「んふふっ」と時々俺を見上げる優茉は相変わらずご機嫌だ。シャワーを浴びても全くアルコールが抜けた様子はない。
 しかし、ドライヤーを片付けて戻ると、なぜか唇を尖らせ不満そうな顔をしている。
 手を引かれて隣に座ると、なぜか彼女はソファから降り床にぺたんと座る。そして、どういう訳か俺の右足首と膝辺りを掴んで持ち上げようとしている。
 ...今度は何だ?これはどういう...?
 優茉が何をしたいのか分からずされるがままになっていると、どうやら俺に胡座をかいて欲しいようなので体勢を変えてみる。すると満足そうにニコッとして立ち上がったかと思えば、そのまま俺の肩に手を置き脚に跨るようにして座りぎゅっと抱きついてきた。
 「っ、ちょっ...」
 突然の予想外の行動に思考が停止し動けない俺を、彼女は不思議そうに覗き込んでくる。そして、今度は俺の腕を掴んで自分に巻きつけるように引っ張り「ぎゅってするの!」とまた口を尖らせる。
 「え?ああ...」
 我に返り両手で優茉の身体を抱きしめると、また満足そうに俺の肩に頭を乗せ耳元で「ふふっ」とご機嫌に笑っている。
 ぴったりと密着している優茉の温かくて柔らかい身体、耳元で聞こえる息遣い、ふわっと香る甘い匂い...それらを感じてしまうと、もう衝動を抑えられる自信がなかった。
 気を紛らわせる為対極の事を考えようとオペの術式を頭の中に並べ始めるが、そんな俺の状況など知る由もない優茉は「なでなで、して?」と俺の左手を自分の頭に持っていくのでそのまましばらく頭を撫でていると、少しずつ力が抜けていくのがわかった。そしてしばらくすると、耳元ですーすーっと寝息が聞こえてくる。
 ...はぁ。何度目かわからないため息を吐きながら、そのまま彼女を抱き上げ寝室まで運んだ。もう完全に熟睡している優茉は、ベッドに寝かせるとパタンと両手を顔の横に置いてあどけない寝姿をみせる。
 今日はもう彼女の近くにいない方がいいだろうと思い、寝室を出ていつもより熱めのシャワーを浴びソファに横になった。   
 まさかあれほどまでに甘えるようになるとは...。でもあれが優茉の本心なのか?本当は普段からもっと甘えたいと思っているのだろうか...。そして、それはそういう意味でのアピールだったのか...?
 優茉の事を考えてしまいなかなか眠気は訪れず、ソファの上で何度も寝返りを打った。
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