運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている
今回の提案は、純粋に自分の軽率だった行動を後悔し詫びたかったための行動だ。
しかし、それ以外の思惑が全くなかったのかといえばそうとも言えない。

最近の俺は持ち込まれる縁談に辟易していた。
今までだって女性から告白されることがなかったわけでもないし、過去に付き合った恋人だっていた。
ただ、まだまだ勉強中の勤務医の俺は、仕事が忙しくて恋愛どころではない。
そう言って見合の話を断ってはいるのだが、それもそろそろ限界が来ているように感じていた。
かといって会ってしまえばさらに断れなくなる気もするし、困っていた俺に「恋人ができれば見合い話は来なくなるぞ」と先日久しぶりに会った友人がアドバイスをくれた。
確かにその手があったかと思ったものの、肝心の恋人がいないのだと肩を落とした俺には、なぜか梨々香さんの顔が浮かんでいた。
だからこそ、このタイミングでの再会は運命のように感じられた。
梨々香さんを利用するつもりは無いが、アパートを焼け出され困っているのは事実だし、これは純粋な善意だ。
俺は自分自身に言い訳をしながら、梨々香さんと供にマンションに向かった。

< 45 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop