運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている
「さあ、行こうか?」
「え、ええ」

動揺はあるものの、佐山先生に促されて私は再び歩き出した。
建物へと入るドアに続き、エントランスの自動扉を佐山先生は顔認証で通過していく。
建物の中は予想通り広く美しくて、廊下の先を何度かまがった所にはフロントがあり男性スタッフがいた。

「こんばんわ」
「おかえりなさいませ、佐山さま」

会釈をして声を掛けた佐山先生に対して、男性スタッフも頭を下げる。
どうやらこのマンションに住む住民のためのコンシェルジュってことらしい。
噂には聞いたことがあったけれど、本当にこんな世界があったとは驚きでしかない。

「何か足らないものがあればここで言えばいいよ」
「はい」

佐山先生に説明されて返事はしたものの、そんなことは起きないだろうとこの時の私は思っていた。
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