きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 ◇◇◇


 ジェイとリデルの家からは、ウィンクラー山が見える。

 かつて、彼は3日掛けて、あの山を越えた。

 だが、平地を馬車で駆け、普通に領境の検問所を通るルートなら、1日足らずでイングラムからベレスフォードに来る事が出来た。
 そのお陰で、この家にはイングラムからのお客が多い。

 今日もそんなお客が来る予定で、リデルはクリームシチューを作っている。



「父さん、エラおばさんが来たよ」

 庭に出ていたジェイを呼びに来たのは、娘のソフィだ。
 この名前は、妻の母から貰って、ジェイが名付けた。



 ジェイは飛び付いてきたソフィを抱き上げ、彼女の髪に手にしていた花を挿した。


「ソフィの黒い髪に、この白い花は良く似合う」

 彼の小さな恋人にそう囁くと、娘は嬉しそうに笑う。
 その笑顔は、愛するひとに重なって。

 ジェイは彼女の髪にも贈ろうと、庭中に咲き誇る白いビオラを、また手折った。



 中々家に入ってこない夫と娘にしびれを切らして、妻が庭に出て来て、彼の名前を呼んだ。

 その声に応えながら、ジェイはソフィと手を繋いで、リデルの元へ急ぐ。



 ソフィは容姿だけでなく、その力も祖母と母から受け継いだようで、娘と手を繋ぐとジェイの疲れは消える。


 いつかソフィが、自分の力に気付いたら、ジェイは教えるつもりだ。
「それは神様からのギフトだ」と。



  
 リデルの力は、彼女への神様からのギフトだ。


 そして、ジェイにとっての神様からのギフトは。
 彼女を見つけた20年前から変わらない。
 彼の、ただひとり。


「ジェレミー」とジェイを呼ぶ、ただひとりのひと。





    おわり

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