わたしを「殺した」のは、鬼でした
「こんなものか」

 しばらくわたしの髪を切っていた千早様が、ハサミを置いて頷いた。

「これで少しは見られるようになったな。――青葉」

 千早様の呼びかけに、どこからともなく青葉様が姿を現した。
 千早様の声は決して大きくなかったのに、呼びかけを聞いてすぐにやって来るなんて青葉様は大変有能である。

「なんでございましょう」
「片付けておけ」

 ぽいっとその辺にハサミを投げて千早様が言う。
 青葉様はわたしと、それから散らばったわたしの髪を見て、ぐぐっと眉を寄せた。

「……次は、せめて庭で切っていただけると、大変助かります」

 それからわたしには風呂に入ってくるようにと告げて、青葉様は箒と塵取りを取りに行った。





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