わたしを「殺した」のは、鬼でした
 牡丹様が口を尖らせたけれど、千早様は意に介した様子はない。

「ユキの精神衛生上にはあまりよろしくはないだろうが、ほかよりはいくらかましだ」
「はあ、日に日に憎たらしくなっていくわ。いったい誰に似たのかしら?」

 牡丹様が頬に手を当てて、ほぅ、と息を吐き出した。

「牡丹、ユキは特殊な環境で育った。ゆえに知らなないことも多い。母がわりとまでは言わんが、手を貸してやってくれ」
「……本当に、珍しいこともあるものね」

 牡丹様は戸惑って何も言えないわたしにふわりと優しく笑いかけた。

「まあいいでしょう。鬼になりたてならば赤子も同然。面白そうだし、可愛い甥のお願いを聞いてあげるわ」

 こうして、牡丹様がしばらくの間お邸にお住まいになることが決定した。


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