結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
だから先ほどの言葉は決してお世辞ではないのだ。


「お礼にこれをあげよう」


 木原はポケットから昔懐かしのアメをひとつ取り出し、史花のデスクに置いた。普段から仕事の合間や挨拶代わりに部下たちに配り歩いている、ミルク味のアメだ。幼い頃に母親によく買ってもらったのだとか。


「ありがとうございます」
「キリのいいところでお昼に行っておいで」
「はい。あと一便で区切りがつきますので、それを終わらせたら行ってきます」


 木原は大きく頷き、立ち去ろうとして足を止める。


「私は、ふみちゃんとの会話はいつも楽しいよ」


 ボソッと囁き、口角をぐっと上げて笑った。
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