結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 史花はもともと地道に調べ物をするのは好きな性質で、導き出した結果に基づいて実行に移すのは苦ではない。今まで敬遠していたヘアメイクも、習って実行してみたら楽しかった。


「えっと……〝会話やスキンシップ、コミュニケーションをとることが第一〟か。そうよね、それがなきゃ円満もなにもないわ。そういえば木原センター長もそう言ってたものね」


 史花たちは夫婦どころか、友人の域にも達していない。なにしろスキンシップはもちろん、会話がほとんどないのだから。
 交わすのは挨拶程度。そこから発展する会話をしようにも、言葉が詰まって出てこないときている。

〝感謝を伝える〟
〝ふたりで楽しめることを見つける。夫婦で初めての体験をする〟
〝記念日を大切にする〟
〝期待し過ぎない、妥協する〟

 など続くアドバイスを実行するスタートラインにも立っていない。
 どの記事を読んでもだいたい似たようなことが書かれており、会話のなさは致命的と思われた。


「どうしたらいいの……」


 優成側に本物の夫婦になる意識がなければ、どうにもならないのだと思い知る。彼は妻の存在が欲しかっただけだから。

 史花の行動は意味のないものなのか。このままただの同居人として過ごす以外にないのか。
 迷って悩み、マウスの動きが鈍くなっていく。そうしているうちに睡魔に襲われ、瞼が重くなってきた。

(もう少し調べてみなきゃ)

 頭ではそう思うのに、目は言うことを聞いてくれない。うつらうつらとしていた史花は眠気に抗えず、とうとうテーブルに突っ伏した。
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