結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 画面の検索窓に文字を入力する直前で思い留まる。バッグに戻そうとして、忍ばせてきたメモを見つけた。優成と電話するときに会話に困らないよう、話す内容を書いたものだ。今日は念のために持ってきていた。


「優成さんの不在中にコーヒーカップをひとつ割ってしまって」
「そんなの気にするな」
「すみません、ありがとうございます。それで、じつは新しいカップを買ってあって」


 次回の電話まで話すのをとっておこうとコーヒーカップも使わずにしまってあるが、やっぱり報告したい。


「わざわざいいのに」
「いえ、私のほうこそごめんなさい。ペアで買ったので、そういうのは使いたくなかったら遠慮なく言ってください」


 優成の意見も聞かずに買ったため、もしも彼が嫌なら仕方がない。夫婦は意見のすり合わせも大事だ。


「使いたくないなんてないから心配しなくていい。帰ったらそれでコーヒーを飲もう」


 車が赤信号で止まり、優成が史花を見る。穏やかな笑みを向けられ、つい目が泳いだ。
 顔面偏差値の高い彼の笑顔を直視できない。


「は、はい、ありがとうございます」


 不自然に前を見て軽く頭を下げた。
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