結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「俺もそう思ってた」
「でしょう? 悪いお手本が身近にふたりもいればね」


 名都も離婚経験者である。まだ一度だから母からすれば経験は浅いか。
 現在は再婚に向け、絶賛婚活中らしい。懲りないというか、めげないというか。強い精神力は母譲りといっていいだろう。


「で、どういう心境の変化?」


 名都はグラスを片手に優成の顔を覗き込んだ。


「おばあちゃんにお膳立てされて」
「なるほど。あなた昔からおばあちゃん子だったものね。おばあちゃん孝行ってわけね」


 子どもそっちのけで自分の恋愛に大忙しの母を持てば、それも無理はない。両親の離婚後、優成は祖母に育てられたも同然だ。


「それで、どんな女性なの? かわいい? 美人? 髪は長い? 短い?」
「そんな次から次へと質問するなよ」


 ひとつ質問するたびに顔を近づけ、名都は興味津々だ。
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