結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 名字が同じだけで独身時代と変わらず過ごしていこうと考えていた優成にとって、それは想定外のことだった。

 何事に対しても真面目でありながら優成を退屈させまいと会話になりそうなネタを仕込むサービス精神や、本物の夫婦になろうと努力する健気な姿は、優成の頑なな心をくすぐって止まないのだ。

 メモを優成に見られたときに見せた恥ずかしそうな顔や、初めてのデートで手を繋ごうとしたときのはにかんだ笑顔を思い出し、つい頬が綻ぶ。


「ニヤニヤしちゃって、なにを思い出してたの?」


 名都にジト目で指摘され、ハッとした。慌てて表情を引きしめて取り繕う。


「べつになにも」
「それが答えね」
「え?」
「結婚してよかったってことでしょ」


 含みを持たせたように微笑みながら、名都がグラスを傾ける。


「どうかな」


 優成たちは、まだ本物の夫婦とは言えない。発展途上にある関係だ。
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