結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 環と話している場面を見ただけで胸が苦しくてたまらない。好きなら当然の感情かもしれないが、円満な夫婦から遠ざかっているようで焦ってしまう。


『もしかして俺を誘ってる?』


 白石に言われてハッとする。


『いえっ、そんなつもりじゃなくて……』
『いっそ俺にしちゃえば?』


 白石がなんの気なしに言ったであろう言葉を聞いていた優成が、そこで史花たちの間に割り込んできた。
 そのあとの展開に史花は戸惑うばかりで……。

(本当にヤキモチを焼いてくれたのならうれしいけど、きっと違うよね。表向きは妻だから見過ごせなかっただけ。私が白石さんと妙な噂を立てられたら、優成さんも困るもの)

 自分なりの結論を見つけた史花は、支度を終えてリビングへ向かった。


「お待たせしました」


 先に準備を終えていた優成が立ち上がる。ボタンダウンのギンガムチェックシャツにネイビーのスリムパンツが爽やかだ。
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