結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
喜乃たちと別れて帰宅した史花は、母の帰りを待ちながら夕食の準備に取り掛かった。
昨夜のうちから、今日はグリーンアスパラとタケノコ、春キャベツのカレーと決めている。春の野菜をたっぷり使ったカレーだ。
都心から離れた自宅は、史花が生まれて間もなく完成した一軒家である。父が亡くなって母娘ふたりきりになったとき、3LDKはふたりには広すぎるからと母は処分も考えたそうだが、思い出が詰まった場所を結局は手放さなかった。
具材を煮込み、ルーを溶かし終えたところでタイミングよく母、琴子が帰宅。ショートボブの髪を揺らしながら、キッチンに顔を覗かせた。笑うと大きな目元に皺が刻まれるが、頬の艶や張りには五十八歳とは思えない若々しさがある。
「ただいま、史花」
「おかえりなさい。ちょうどカレーが出来上がったところだよ」
「ありがとう。手を洗ってくるわね」
琴子に頷き返して食器棚から皿を取り出しながら、史花は今日の午後、喜乃に優成を紹介されたときのことを思い返していた。
(喜乃さんはもう一度考えてみてって言ってたけど……)
ふと彼との結婚生活を想像してみたものの……。