結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「お母さんにあとで報告があるの」
「あら、なにかしら」
「はっきりしたら話すね」


 彼への返事が先だ。


「そう。わかったわ。じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい」


 キッチンで母を見送り、史花はバッグからスマートフォンを取り出した。
 登録されたばかりの優成の連絡先を表示させ、メッセージをタップする。

【横瀬です。結論を出したので、お時間を作っていただけないでしょうか】

 一生を左右する大事な返事のため、メールや電話では済ませたくない。顔を見て直接伝えたかった。
 大きな決断を下した緊張感に包まれる中、最後まで文字を打ち終える。深く吸い込んだ息を吐き出すと同時に、送信をタップした。
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