結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
(でも、結婚して一度も一緒に食事をしたことがないってどうなんだろう……?)

 フライトで不在だったり、外食で済ませたりと、優成はほとんど自宅で食事をしていない。
母に代わって家事をしてきたため、史花は食事の準備はお手の物。これまで何度か優成に声を掛けているが、『俺のことは気にしなくていい』と言われてしまう。

(気にしなくていいってどういうこと? 夫婦なのに?)

部屋の一画にフラワーアレンジメント教室で習った花を飾っても、まったく見向きもしない。史花にも結婚生活にも、全然興味がないみたいなのだ。
想像していたものとあまりにも違うため、最近の史花は途方に暮れることが多い。

これでは史花は単なる同居人。ここはお互いを干渉しないシェアハウスと化している。


『キミの好きにしたらいい。変わるのは名字だけ。……まぁ生活拠点はここに変えざるを得ないが、あとはこれまでと同じと思ってもらって構わない』


 婚姻届を書いたときに彼が言っていた言葉を思い出した。
 まさにそのとおり。優成は独身のときの生活スタイルを変えるつもりはないのだろう。紙きれ一枚の契約書である婚姻届で関係を結んだだけ。史花と本物の夫婦になろうとは思っていない。

(本当にこのままでいいのかな……)
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