結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「私のほうも追記しておくべきでした。申し訳ありません」


 座ったまま頭を下げ、戻したときにはじめて、周りの光景が目に入る。あらゆる方向から史花と優成に好奇な視線が向けられていた。

 彼との結婚が知れ渡って以降、史花の耳には〝凸凹夫婦〟〝ちぐはぐなふたり〟などと揶揄する声が頻繁に入っている。それらはすべて事実のため、史花は否定するつもりも腹を立てるつもりもないのだけれど。

 みんなは、そんなふたりが一緒にいる場面を初めて見たのだから無理もない。夫婦っぽさがまったくない史花たちを見て、「ほんとに夫婦?」と囁き合う声が聞こえてきた。
 仕事中だから律しているのとは違う。新婚なら、いくら隠そうとしても目線や仕草に甘い雰囲気は滲んでしまうだろう。それが皆無なのだから。

(このままでいいのかな……)

 彼らの視線を浴び、史花は改めて結婚した意味を見出せなくなる。


「時間を取らせてすまなかった」
「いえ」


 優成は淡々と言い、タブレットを抱えて颯爽とコントロールセンターを出ていく。同じ便に乗るのだろうか、ドア付近に立っていたCAの環が彼を追った。
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