結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
五十八歳の彼は史花の上司であり、亡き父の友人でもある。フレンドリーに〝ふみちゃん〟と呼ぶのもそのためだ。

史花の父はオーシャンエアラインのパイロットだった。


「私、お弁当持ちなんです」


 羽田空港内にはグルメサイトでも人気のレストランはたくさんあるし、オーシャンエアラインは空港内に休憩室も兼ねた社員食堂があるが、史花はいつも自分で作ったお弁当を持参している。


「同僚と食べるのもいいものだよ。情報交換の場としても有効だ」
「私と一緒に食べても、たぶんつまらないんじゃないかと……。気の利いた話もできませんし」


 同年代の女性たちがするようなおしゃれな話題は持ち合わせていない。もしもランチの約束をするなら、事前に話す内容を考えておかねばならない。それも下調べをしてからでないと無理だ。


「そんなに堅苦しく考える必要はないんじゃないかな? 職場でこんなことがあったとか、テレビドラマや映画の話、おいしい食べ物の話とか、とにかくなんだっていいんだよ。あっ、上司の愚痴なんてのも共通の話題にはもってこいだ。一番盛り上がるんじゃないか? どうだい?」
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