結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
コントロールセンターのドアの前で立ち止まり、深呼吸を何度か繰り返す。今日の史花は少し緊張している。
最後に息を吐き出したところで、いざドアを開けた。
「お疲れさまです」
今日から四日間の夜勤がはじまり、いつものように挨拶をしながら自席を目指す。同僚たちはパソコンのモニターを注視したまま、史花の挨拶に声だけで返してきた。
モニターから目を離せず、顔を上げずに挨拶が飛び交うのはいつものこと。背景に馴染んでしまう史花が相手だと、余計にその傾向が強い。
(誰も気づかない……。けど恥ずかしいから、かえってそのほうがいいかも)
そう思ったそのとき――。
「えっ、津城さん!?」
隣のデスクに座る、ひとつ年下の島谷未希が素っ頓狂な声をあげる。キャスター付きの椅子を滑らせ、史花のほうに勢いよく突進してきた。
肩につかない長さのワンレンボブの髪を耳にかけ、なにかの見間違いかと目を激しく瞬かせる。常日頃からファッショナブルで、小ぶりの鼻と口がウサギを連想させる可愛らしい顔立ちをしている。