結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「あ、あの、お仕事お疲れさまでした」
「ああ。キミもお疲れ」
「ありがとうございます」

(それからなんだ、どうしよう……)

 優成に小首を傾げて見つめられ、その先が続かない。
 沈黙がふたりの間に舞い降りる。目を泳がせ、話題を探すが見つからない。


「い、以上です。では」


 結局、踵を返しスタスタと彼から離れた。

(あっ、夕飯は食べたか聞けばよかった)

 自室に戻ってから気づいて急いでリビングへ戻ったが、彼の姿はない。どうやらお風呂に入ったらしく、バスルームからシャワーの音が聞こえた。

 午後九時近く。おそらくいつものように外で食べてきただろうと思いなおし、史花は自室に戻った。


「ひとまず笑顔は見せられたから、よしとしよう」


 自分で自分を慰める。
〝自然な笑顔〟とは言えなくても真顔よりは進歩したはず。彼の前ではなるべく笑顔を心がけていこうと改めて決意した。
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