ソレが出て来る話を聞かないでください
☆☆☆~小野彩音さんの動画より~
「わ、私は小野彩音っていいます。清音東中学校の2年生、B組です」
私はスマホ画面を自分へ向けて、録画されている顔を確認しました。
その顔は自分でもビックリするくらい青くて、唇が小刻みに震えていました。
スマホを持つ手が震えないように両手でしっかりと握りしめて最近の出来事を思い出しました。
「ここは学校の教室内です。今は放課後で誰もいません。私も帰りたいけど……でも、私には【見えて】いるから、いつどのタイミングで【見える】かわらからないから、だから……教室から出ることができません」
キョロキョロと周りを見ましてみても、誰もいません。
教室内はとても静かで、外のグラウンドから生徒たちが部活動をしている声が聞こえてきているだけです。
それでも私は動くことができなくて、教卓の下に身を隠しています。
それに、さっきから自分がスマホに向けて意味不明な言葉を繰り返していることも自覚しています。
でも、ソレに関することはまだまだ残していくつもりなので、今はその意味がわからなくても大丈夫です。
これを撮影していたときには、とてもソレについて丁寧に説明する余裕なんてありませんでしたし。
「今日は午後から絵里の葬儀でした。私も参列して。そしたら絵里、誰かに首を絞められていたらしくて……あ、でも詳しい話は知りません。葬儀中に噂でちょっと耳にしただけで。絵里、ゴールデンウィークが開けてからなんとなく様子はおかしくて……」
そのとき廊下から男性生徒二人分の笑い声が聞こえてきて私はビクリと身をすくめました。
どうやら隣のクラスにはまだ人が残っていたようです。
「わ、私は小野彩音っていいます。清音東中学校の2年生、B組です」
私はスマホ画面を自分へ向けて、録画されている顔を確認しました。
その顔は自分でもビックリするくらい青くて、唇が小刻みに震えていました。
スマホを持つ手が震えないように両手でしっかりと握りしめて最近の出来事を思い出しました。
「ここは学校の教室内です。今は放課後で誰もいません。私も帰りたいけど……でも、私には【見えて】いるから、いつどのタイミングで【見える】かわらからないから、だから……教室から出ることができません」
キョロキョロと周りを見ましてみても、誰もいません。
教室内はとても静かで、外のグラウンドから生徒たちが部活動をしている声が聞こえてきているだけです。
それでも私は動くことができなくて、教卓の下に身を隠しています。
それに、さっきから自分がスマホに向けて意味不明な言葉を繰り返していることも自覚しています。
でも、ソレに関することはまだまだ残していくつもりなので、今はその意味がわからなくても大丈夫です。
これを撮影していたときには、とてもソレについて丁寧に説明する余裕なんてありませんでしたし。
「今日は午後から絵里の葬儀でした。私も参列して。そしたら絵里、誰かに首を絞められていたらしくて……あ、でも詳しい話は知りません。葬儀中に噂でちょっと耳にしただけで。絵里、ゴールデンウィークが開けてからなんとなく様子はおかしくて……」
そのとき廊下から男性生徒二人分の笑い声が聞こえてきて私はビクリと身をすくめました。
どうやら隣のクラスにはまだ人が残っていたようです。