あなたが運命の番ですか?
あなたは優れた子
夏休みが始まって数日が経った頃、突然亜紀母さんに「連れて行きたいところがある」と言われた。そして、車に乗せられて、専属運転手さんの運転でどこかへと向かう。
亜紀母さんには、俺が伽耶母さんから馴れ初めやもう1人の番の件について聞いたことは黙っている。しかし、この2ヶ月近く俺が感じていた亜紀母さんへの不信感はなくなった。
そう言えば、亜紀母さんはこの数ヶ月の間、いつも1人でどこへ行っていたのだろうか。もしかして、今向かっている目的地に何か答えが隠されているのだろうか。
出発して1時間半が経ち、辿り着いた先はホスピスだった。
予想外の目的地に、俺は困惑する。
俺は亜紀母さんに連れられて、2人で中へ入った。
ホスピスの中は独特の空気感というか、暖かくて澄んでいる。さらに、患者や看護師たちはみんな穏やかな顔をしており、「天国とはこういう場所なのだろうか?」と思った。
亜紀母さんは迷いのない足取りでホスピス内を進み、とある病室の前で立ち止まった。
その病室の扉を亜紀母さんはノックし、そーっと開けて中へ入る。
病室には、ベッドに力なく横たわっている老人がいた。
この人は、誰だろう?
「お父さん、来たよ」
亜紀母さんが老人に呼び掛ける。
俺はその瞬間、老人の正体に気づいた。
それは、祖父だった。
やせ細って精気をなくし、俺の記憶の中にいる中肉中背で快活な祖父とはまるで別人のようだ。
俺はあまりの衝撃にその場で立ち尽くしていると、祖父は目を開いた。
そして、亜紀母さんを一瞬見た後、俺のほうに目を向ける。
その目は、穏やかで淀みがない。
「……ゆうちゃん」
弱々しく、掠れた声で祖父は俺を呼ぶ。
そして、祖父は微かに笑みを浮かべた。
「大きくなったなぁ……」
祖父の言葉を聞いた瞬間、俺は幼い頃の祖父との思い出が蘇り、自然と涙が溢れた。
会うたびに「ゆうちゃん、大きくなったなぁ」と言って抱きしめてくれた祖父。
俺はそんなお祖父ちゃんがずっと大好きだった。
「久しぶりだね、お祖父ちゃん」
亜紀母さんには、俺が伽耶母さんから馴れ初めやもう1人の番の件について聞いたことは黙っている。しかし、この2ヶ月近く俺が感じていた亜紀母さんへの不信感はなくなった。
そう言えば、亜紀母さんはこの数ヶ月の間、いつも1人でどこへ行っていたのだろうか。もしかして、今向かっている目的地に何か答えが隠されているのだろうか。
出発して1時間半が経ち、辿り着いた先はホスピスだった。
予想外の目的地に、俺は困惑する。
俺は亜紀母さんに連れられて、2人で中へ入った。
ホスピスの中は独特の空気感というか、暖かくて澄んでいる。さらに、患者や看護師たちはみんな穏やかな顔をしており、「天国とはこういう場所なのだろうか?」と思った。
亜紀母さんは迷いのない足取りでホスピス内を進み、とある病室の前で立ち止まった。
その病室の扉を亜紀母さんはノックし、そーっと開けて中へ入る。
病室には、ベッドに力なく横たわっている老人がいた。
この人は、誰だろう?
「お父さん、来たよ」
亜紀母さんが老人に呼び掛ける。
俺はその瞬間、老人の正体に気づいた。
それは、祖父だった。
やせ細って精気をなくし、俺の記憶の中にいる中肉中背で快活な祖父とはまるで別人のようだ。
俺はあまりの衝撃にその場で立ち尽くしていると、祖父は目を開いた。
そして、亜紀母さんを一瞬見た後、俺のほうに目を向ける。
その目は、穏やかで淀みがない。
「……ゆうちゃん」
弱々しく、掠れた声で祖父は俺を呼ぶ。
そして、祖父は微かに笑みを浮かべた。
「大きくなったなぁ……」
祖父の言葉を聞いた瞬間、俺は幼い頃の祖父との思い出が蘇り、自然と涙が溢れた。
会うたびに「ゆうちゃん、大きくなったなぁ」と言って抱きしめてくれた祖父。
俺はそんなお祖父ちゃんがずっと大好きだった。
「久しぶりだね、お祖父ちゃん」