あなたが運命の番ですか？

スキャンダル①

　８月末、アタシは週刊誌のことで事務所に呼び出された。
「まこちゃん、もうちょっと警戒心を持とうか。仮にも、君はCMもやってて、それなりに知名度があるんだからさぁ」
「す、すみません……」
　事務所の社長は呆れたようにため息を吐き、アタシはマネージャーさんと共に頭を下げた。
　この数十分前には、マネージャーさんにも注意を受けた。

　先日発売された週刊誌には、「CMにも出演。人気モデル・星宮真琴がオメガの美少年と連日お家デート」という見出しで、アタシと橘先輩が一緒に写っている写真がいくつも掲載されていた。
　アタシと橘先輩が並んで歩いている様子や一緒にアパートへ入る様子、ミルキーウェイレストランで食事をしている様子などが写真に収められていた。
　さらに、初めてミルキーウェイレストランで食事した後に、橘先輩とアパートの部屋の前でハグをしている写真も載っている。
　どうやら、ここ最近のアタシが背後に感じていた視線の正体は、週刊誌の記者だったようだ。
　変装のために休日はキャップを被るようにしていたのだが、あまり効果はなかったらしい。

「まあ、アイドルならともかく、若いアルファのモデルとオメガの一般人が交際してるくらいで目くじらを立てる輩なんていないから……。この記事だって勢いのある若手を粗探し目的で付け回して、やっとの思いで掴んだスクープだろうし……。それに、スポンサーさんも怒ってないみたいだよ」
　社長の「スポンサーさんは怒ってない」という言葉に、アタシは少し安堵する。
　
「でも、はしゃぎすぎて未成年のうちにオメガのうなじを噛むとかは、ほんとに勘弁してよ！？事務所としても、まこちゃんのプライベートに口出しする気はないけど、法律違反だけは世間も許してくれないから。――あっ、あと、未成年飲酒と喫煙も絶対ダメだからね！？」
「は、はい。気を付けます……」