あなたが運命の番ですか?
「……ごめんなさい」
 アタシはダイニングテーブルに両親と向かい合う形で座り、週刊誌のことを自ら打ち明けた。
 両親は共に困惑した様子で、テーブルの上に置かれた週刊誌の記事を凝視している。

「……まっ、全く酷いなぁ、未成年をこんなふうに付け回すなんて……。悪趣味にもほどがあるってもんだよ……」
 パパは苦笑いをしながら、必死に言葉を絞り出してくれる。おそらく、パパなりの気遣いなのだと思う。
「な、なあ?ママもそう思――」
「ねぇ、真琴。ここに写ってる男の子って、真琴の彼氏なの?」
 ママの言葉に、アタシは背筋が凍った。
 ああ、バレてる……。

「お、おい!急に何言い出すんだよっ!?」
 パパは焦った様子で声を荒げる。
 パパの言葉を聞いて、ママはハッとしたような顔をした。
「ご、ごめん……。今のはママが悪かったわ……」

 おそらく、ママにはアタシと橘先輩の関係が普通のカップルではないと勘付かれたのだろう。いや、パパも気づいているのかもしれない。
 単に彼氏とのデートをスクープされただけで、こんな深刻な顔をするわけがないと、自分でも思う。
 こんな深刻な様子で謝罪してしまったら、普通のカップルではなく、もっと如何わしい関係だと白状しているようなものだ。

 今まで、両親は1度もアタシのことをアルファとして扱ったことがない。
 いつもベータであるお兄ちゃんと同等に接してくれて、変に優遇したりしない。
 だけど、今回の件でアタシがオメガに欲情するアルファであると、両親にまざまざと見せつけてしまった。
 突然見せつけられた娘のアルファ性に、両親は戸惑いが隠せないようだ。
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