あなたが運命の番ですか？
　私は自宅のインターホンを鳴らす。
　すると、中からバタバタと忙しない物音が聞こえた後、玄関からお母さんが飛び出してきた。
「寿々ちゃん！！！」
　お母さんは私の顔を見るなり、泣きそうな顔になりながら私を抱きしめた。
「あぁ、良かった……、無事で……」
　お母さんはギュッと苦しくなるくらいに、強く私を抱きしめる。

　少し遅れてお父さんも駆け寄ってくると、お父さんは私の顔を見てホッとしたように胸を撫で下ろした。
　お父さんに続いて、リビングにいたであろう前園社長と伽耶さんも安堵した様子で玄関へやって来る。

「ごめんなさい、お母さん……」
　お母さんに抱きしめられたまま、私は恐る恐る謝罪する。
「いいのよ……。お母さんが悪かったわ……」
　お母さんはそう言って、私の頭を撫でた。
　その瞬間、私は安心感からか、ブワッと涙が溢れ出した。

「あのね、お母さん……。私、お母さんとお父さんと、話し合いたいことがあるの……。友達や部活のこと……、ちゃんとお母さんたちと話し合いたい……」
　私は勇気を振り絞って、そう伝えた。
「分かったわ。今度はお母さん、ちゃんと寿々ちゃんの話を聞くから」

　お母さんが抱きしめていた腕を解くと、私は背後にいる優一郎くんのほうを見た。
　優一郎くんは私と目が合うと、まるで私を褒めてくれるかのように、ニッと微笑んだ。
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