あなたが運命の番ですか?
 体育館中に、割れんばかりの拍手と歓声が響き渡る。
 そして、私も無意識のうちに拍手を送っていた。

 私は感動した。舞台のストーリーはもちろん、優一郎くんと星宮さんの熱演に心打たれたのだ。
 あの2人は、今日までどれだけの稽古を重ねてきたのだろうか。いや、あの2人だけではない。この舞台に関わった演劇部員たちの努力を想像すると、自然と涙が零れた。

 私の脳裏には、小十郎を演じる星宮さんの姿が浮かぶ。
 運命に翻弄され、叶わぬ恋に身を焦がして散っていった小十郎――。
 そのガムシャラで不器用な姿は、今の星宮さんと重なるような気がした。
 だけど、星宮さんはあんなふうに儚く散ったりしない。私はそう信じている。
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