あなたが運命の番ですか？
　園芸部の部室を出た後、アタシは橘先輩のクラス、２年６組の教室へ向かった。
　２年６組の出し物は「ヨーヨー釣り」らしい。
　
「あの、すみません」
　アタシは、出入り口の前で受付をしている男子生徒に声を掛ける。
　男子生徒はアタシを見て、驚いたように目を見開いた。
　
　教室の中からは「あれ、星宮真琴じゃない！？」と話す女子生徒の声が聞こえてきた。
　教室内を見ると、みんなアタシのことをジロジロと興味津々な様子で見ている。

「橘千尋さんって、今ここにいますか？」
「へっ！？橘ぁ！！？」
　受付の男子生徒は、ギョッとしたような顔をする。
　
「い、いや、今はいないけど……」
「そ、そうですか……。ありがとうございます。失礼しました」
　アタシはお礼を言ってから、その場を小走りで離れる。
　教室内がザワザワと騒がしくなっているのを、アタシは背中で感じていた。
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