あなたが運命の番ですか?
「星宮さん、今月号のティーンズ買ったよ」
「また表紙だなんて、すごいね!」

 校内を歩いていると、同級生・先輩問わずベータ女子たちがアタシに羨望の眼差しを向ける。
「ありがとね。嬉しいよ」
 アタシは彼女たちに対して、にこやかに対応する。
 
 モデルを始めた頃から、校内で女の子たちから囲まれるようになった。
 注目されるのは嫌でないけれど、気恥ずかしさを感じる時はある。
 
 アタシの家族は、両親と4つ上の兄の3人だ。そして、3人ともベータだ。
 だから、アタシもベータなのだと思っていた。
 しかし、10歳の時、血液検査で判明したバース性は「アルファ」だった。
 その結果に対して、パパは「『トンビが鷹を産む』って本当にあるんだなぁ」と呑気に感心していた。
 アタシが社会的地位の高いアルファ性だからと言って、両親はアタシのことを特別扱いすることはない。

「アルファ」と言うと「お金持ち」だと、よく勘違いされる。
 アタシに憧れる女の子たちも、きっとアタシのことを「アルファ家系のお嬢様」だと思っているのだろう。
 しかし、アタシの家はごく普通だ。
 パパは出版社で働いており、ママはスーパーでパート勤めをしている。そして、兄は地方の専門学校に進んで、今は実家を離れて一人暮らしをしている。
 学費が高い宝月学園に通えているのも、高等部から入学するアルファの外部生は学費が半分免除になるからだ。
 だから、アタシは周りが思うほど特別な存在ではない。
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