あなたが運命の番ですか?
 学園に辿り着くと、私はまずアルファの生徒の多さに驚いた。
 小・中学校では1クラスにアルファが1人いるかいないか程度だったが、この学園では新入生も含めて少なくとも90人はアルファがいる。
 アルファは男女ともに身体が大きく、宝月学園ではアルファ特進クラスの生徒は胸元に校章バッジを付けているため、見分けるのは容易だ。

 ――()()()()の子に近づいちゃダメよ?何されるか分からないんだから。

 今朝のお母さんの言葉が頭を(よぎ)り、私は思わずアルファの生徒たちから距離を取ろうと小走りで校舎へ向かおうとする。

「ねぇ!見て!」
「わっ!ほんとに宝月に入学してきたんだ!」

 近くを通りかかったベータの女子たちが何か騒いでいるのが聞こえ、私は彼女たちの視線の先に目を向けた。
 すると、そこには女子生徒たちの人だかりができている。
 何だろう?
 そう思ってよく見ると、女子たちが1人のアルファ女子を取り囲んでいるのが見えた。

星宮真琴(ほしみやまこと)と同じ学校に通えるなんて夢みたい」

 女子たちに囲まれていたのは、私も愛読している10代向けのファッション雑誌「ティーンズ」のモデル・星宮真琴だった。
 170cmを超える長身でスタイルも良く、爽やかなショートカットが似合うボーイッシュな美人だ。
「ティーンズ」内でも非常に読者人気が高く、よく表紙を飾っているのを目にする。
 
 嘘!?まこちゃん――星宮真琴さん、宝月学園に入学したの!!?
 まさか有名なモデルさんと同級生になるなんて夢にも思わなかったので、私は仰天する。流石、名門校……。

 星宮さんは、憧れの眼差しを向ける女子たちに、ニコニコと眩しい笑顔で対応している。
 私も思わずその人だかりに近づいて、星宮さんを眺めてしまった。

 雑誌で見るより綺麗だなぁ。
 顔小さいなぁ。
 足長いなぁ。

 そんなことを考えていると、私は突然どうしようもない劣等感に苛まれた。
 私も第二次性徴が始まるまでは平均的な体型だったが、身長は151cmで止まり、代わりに胸とお尻がどんどん大きくなっていった。
 私が「ブラジャーがきつい」と言うたびに、お母さんは悲しそうな顔をしていた。
 そうした身体の変化を目の当たりにすると、私は自分がオメガであると突きつけられているような気分になる。

 私も星宮さんみたいに、長身でスレンダーな美人に生まれたかったなぁ。
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