あなたが運命の番ですか？

君を傷つけたくない

　亜紀母さんから見合いの話をされた時は、正直困惑した。
　しかも、俺が初めて見合いの話を聞いた頃には、もう既にかなり話が進んでいた。
「勝手に話を進めないでよ。俺は見合いをしたいなんて１度も――」
「あんた、どうせ１度も彼女できたことないでしょ？」
　亜紀母さんの言葉に、俺はぐうの音も出なかった。
　それを見た母さんは、呆れたようにため息を吐く。
「ほっといたら一生独身だろうから、勝手に決めたの。一人っ子なんだから、あんたで末代になられたら、私が困るのよ。ちゃんと後継ぎを作ってもらわないとね。とりあえず、会うだけ会ってみて。気に入らなかったら、断れば良いだけよ」
　亜紀母さんは「断れば良い」と簡単に言ってのける。
　相手にだって事情があるだろうに、そんな簡単に断れるわけないだろ……。

　亜紀母さんは良く言えば、正義感があって、自分の信念を貫き通す人だ。
　だけど、悪く言えば、我が強くて頑固な人だ。
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