あなたが運命の番ですか?

体育祭(借り物競争)①

 6月初旬の土曜日、今日は体育祭だ。
 全校生徒と先生たち、さらには保護者たちも校庭に集まっている。
 私の両親も見に来ており、お母さんには「怪我しないようにね」と念を押された。

 私が参加する種目は借り物競争と、全校生徒参加の綱引きの2つだ。
 全校生徒参加のラジオ体操が終わると、最初の競技である徒競走が始まった。
 女子の徒競走には鏑木さんが出場し、惜しくも5人中2位の結果となる。
 
「あと、もうちょっとだったんだけどなぁ」
 クラスのテントに戻ってきた鏑木さんは、悔しそうな表情を浮かべる。
 クラスメイトたちは「お疲れ」「惜しかったねー」と鏑木さんを労う。
 私も「お疲れ様。2位でも十分すごいよ」と言った。
 鏑木さんは学費が一部免除となる特待生なので頭が良く、おまけに運動神経も優れている。
 勉強も運動も苦手な私からすると、鏑木さんは十分すごい人だと思う。

「ありがとね、春川さん。借り物競争、頑張ってね」
「うん、頑張る」
 私はそう言い残して、借り物競争に出場するための待機場所へと向かった。
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