あなたが運命の番ですか?
体育祭(お昼休憩)
借り物競争が終わって退場した後、東部長に「災難だったねぇ、寿々ちゃん」と声を掛けられた。
「あはは、ほんと大変でした……。部長は惜しかったですね」
「ほんとねぇ。悔しいなぁ」
東部長のお題は「じゃんけんが強い人」だった。
そして、東部長はクラスのお調子者っぽい男子を連れて1着目にゴールした。
しかし、審査の際に「じゃんけんが強い人」として連れてこられた男子と体育教師がじゃんけんをし、体育教師が勝ってしまったので、東部長は失格となった。
「じゃんけん勝ってたら、1位だったのになぁ」
東部長は肩を落とす。
3年生のお題は他に、「アフロヘアの人」「ガラケー」「2000円札」「着ぐるみ」「外国生まれの人」があった。
「アフロヘアの人」と「着ぐるみ」だけ仮装した体育委員が会場に紛れ込んでいたため、その2人だけが合格となり、他4名は時間切れなどで失格となった。
「でも、寿々ちゃん偉いね。あのお題、毎年恒例のやつなんだけど、みんな恥ずかしがってゴールしなかったり、ふざけたりしちゃうの。それなのに、寿々ちゃんは真面目に婚約者を連れてくるから、みんなびっくりしてたよ」
「えっ、そうだったんですか……」
あの割れんばかりの驚嘆は、バカ真面目に「好きな人」を連れてきたことへの驚嘆だったのか。
その事実を聞かされると、ますます恥ずかしくなる。
2年生の借り物競争が始まる前に、私は前園先輩に「恥ずかしい思いをさせて、ごめんなさい」と謝った。
前園先輩は顔を真っ赤にしながら、珍しく私の顔をろくに見ずに「大丈夫だよ」としどろもどろになりながら返した。
その後、退場するまでの間、私たちは互いに顔を見ることが出来ず、ずっと無言だった。
「うふふ、寿々ちゃんは真面目だからね。そういうところが素敵だと思うよ。先生たちが順位を繰り上げてくれたのだって、寿々ちゃんが一生懸命頑張ってたのもあるんじゃないかな?」
東部長はそう言って微笑む。
「あ、ありがとうございます」
私は気恥ずかしくなりながら答えた。
「あはは、ほんと大変でした……。部長は惜しかったですね」
「ほんとねぇ。悔しいなぁ」
東部長のお題は「じゃんけんが強い人」だった。
そして、東部長はクラスのお調子者っぽい男子を連れて1着目にゴールした。
しかし、審査の際に「じゃんけんが強い人」として連れてこられた男子と体育教師がじゃんけんをし、体育教師が勝ってしまったので、東部長は失格となった。
「じゃんけん勝ってたら、1位だったのになぁ」
東部長は肩を落とす。
3年生のお題は他に、「アフロヘアの人」「ガラケー」「2000円札」「着ぐるみ」「外国生まれの人」があった。
「アフロヘアの人」と「着ぐるみ」だけ仮装した体育委員が会場に紛れ込んでいたため、その2人だけが合格となり、他4名は時間切れなどで失格となった。
「でも、寿々ちゃん偉いね。あのお題、毎年恒例のやつなんだけど、みんな恥ずかしがってゴールしなかったり、ふざけたりしちゃうの。それなのに、寿々ちゃんは真面目に婚約者を連れてくるから、みんなびっくりしてたよ」
「えっ、そうだったんですか……」
あの割れんばかりの驚嘆は、バカ真面目に「好きな人」を連れてきたことへの驚嘆だったのか。
その事実を聞かされると、ますます恥ずかしくなる。
2年生の借り物競争が始まる前に、私は前園先輩に「恥ずかしい思いをさせて、ごめんなさい」と謝った。
前園先輩は顔を真っ赤にしながら、珍しく私の顔をろくに見ずに「大丈夫だよ」としどろもどろになりながら返した。
その後、退場するまでの間、私たちは互いに顔を見ることが出来ず、ずっと無言だった。
「うふふ、寿々ちゃんは真面目だからね。そういうところが素敵だと思うよ。先生たちが順位を繰り上げてくれたのだって、寿々ちゃんが一生懸命頑張ってたのもあるんじゃないかな?」
東部長はそう言って微笑む。
「あ、ありがとうございます」
私は気恥ずかしくなりながら答えた。