あなたが運命の番ですか？
　クラステントへ戻ると、クラスメイトたちが一斉に私の元へ押し寄せた。
「春川さん！あの前園優一郎と婚約してるってほんと！？」
「えっ……。う、うん。ほんと……」
　私はクラスメイトたちに気圧(けお)されながら答える。
「えーっ！？すごい！コスモバーガーとかの社長の息子だよね！？」
「いいなぁ、玉の輿」
　どうやら、みんな前園先輩のことを知っているようだ。
　やっぱり、前園先輩って有名人なんだな。
　
　その後も「どこで知り合ったのか？」などといろいろ質問されたが、恥ずかしさもあって「親同士が決めただけだから」としか返せなかった。
　私を取り囲んでいたクラスメイトたちが散った後、私はようやく鏑木さんの元へ辿り着いた。
「お疲れ様ー。４位おめでとう」
　鏑木さんは、フランクな感じで声を掛けてくれた。
「ありがとう、鏑木さん」
　私はそんな鏑木さんに安心感を覚える。
「でも、偉いねぇ、春川さん。私だったら、棄権しちゃうわ」
　鏑木さんはおどけたように言う。
「あはは。私も一瞬、棄権しようかなって考えちゃった」
　私がそう言うと、鏑木さんはケラケラと笑った。
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