あなたが運命の番ですか?
 その後、東先輩は園芸部の活動内容について簡単に説明してくれた。
 活動日は毎週水曜日で、校内にある花壇やプランターの水やりや草むしり、施肥などが主な活動内容で、5月と10月には花の植え替えを行う。活動日以外の水やりは、放課後に部員が日替わりで行うらしい。
 ちなみに、活動日に雨が降った場合、作業を中止して部室で各々課題をしたり好きなことをして良いという。
 
「今はビオラとかデイジーが咲いてるんだけど、5月になったらマリーゴールドとかコスモスを植えるんだよ。あと、部室棟の裏で野菜も育てて、9月の文化祭で育てた野菜を売ってるんだぁ」
 東先輩は校内にある花壇やプランターを案内しながら、園芸部について説明してくれる。

 正門から正面玄関へ続く道の右端に大きな円形状の花壇があり、ベータ棟と呼ばれる校舎の正面玄関付近には円形のプランターが8つ並んでいる。
 園芸部が管理するのはこの大きな花壇と8つのプランターで、5月になると部室棟の裏で野菜を栽培し始める。

「主な活動日は週に1回だけだし、17時から17時半の間には終わるから、結構緩い部活だよ。兼部も大歓迎だし!顧問の川田先生は優しいし、橘くんもあんな感じだけど根はいい子だから……。春川さんも良かったら、うちの部に入ってね」

 東先輩はニコニコと穏やかな笑みを浮かべる。
 私は宝月学園に入学して、上手く学校生活を送れるだろうかと不安でいっぱいだったが、川田先生や東先輩と話してその不安が少し和らいだ。

 ――うちの園芸部では、部活を通してオメガ同士の交流を図ろうって方針なの。

 私は川田先生の言葉を思い返す。
 園芸部に入部すれば、オメガの先輩たちと仲良くなれるかもしれない。
 それに、植物を育てること自体に少し興味が湧いた。
 私は「入部したい」という気持ちでいっぱいだが、お母さんが許してくれるか不安だ。

「……少し、考えます」
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