あなたが運命の番ですか?
「少し話が変わりますが、そもそもアルファが通う宝月学園にわざわざオメガを通わせている理由を、あなた達はご存じかしら?」
青山会長は、突然私たちに質問を投げかける。
宝月学園にオメガを通わせている理由?そんなこと1度も考えたことがなかった。
私たち3人は困惑しながら、互いに顔を見合わせる。
そんな私たちを見た青山会長は、呆れたようにため息を吐く。
「それは――、国から補助金が下りるからです」
「えっ……」
私は言葉を失った。
「私立高校では、毎年1人以上オメガを入学させれば、その都度国から補助金が貰えるのです。そういったメリットがなければ、アルファとオメガを同じ学校に通わせるなんて、トラブルが起きかねないリスクを取るわけがないでしょう」
青山会長の話を聞いて、私はようやく合点がいった。
中学時代、「我が校に入学しないか?」と言ってきた宝月の先生が、なぜあんなにも必死に私とお母さんを説得していたのか。
それは、私を入学させなければ、国からの補助金が貰えないから――。
「アルファとオメガが共存できる環境を整えている、というのが宝月の自慢なのに、これ以上校内でアルファとオメガの間でトラブルを起こされては困ります。去年の年末に、1年生のオメガの売春行為が発覚したばかりだというのに……」
「えっ!?」
「えぇっ!?」
青山会長の言葉に、私と星宮さんが驚愕する。
売春行為?
去年の1年生のオメガって、橘先輩のことじゃ――。
――その子はそういうのじゃないからダメだよ。――っていうか、僕以外の園芸部員はダメだから。
――橘くん、もう水瀬くんたちとは関わらないって言ったよね?あれ、嘘だったの?
――でも、ああいうことするのは本当に好きな奴だけにしなよ。じゃないと、僕みたいになっちゃうよ。
私は、橘先輩と東部長の数々の言葉を思い出す。
あれって、全部売春行為に関係していること?
じゃあ、橘先輩と水瀬先輩の関係って――。
「あら?星宮さんと春川さんはご存じなかったの?去年、校内で1年生のアルファとオメガの間で売春行為が横行していたのです。この件は、関わった生徒の停学処分だけで外部に漏れないように内々に処理されましたが、生徒の間では有名な話でしたから、てっきりお二人も知っているものだと……」
青山会長は白々しい感じで話す。
目の前が真っ暗になる。
橘先輩が、そんなことを……?
確かに橘先輩は変わった人だとは思うが、あの人が売春行為をしていたなんて信じられない。
もしかしてこの人、私が橘先輩と部活仲間だから、わざとこの話をした?
橘先輩の悪い話を聞いて、私がショックを受けると思って?
いや、流石に考え過ぎだろうか。
青山会長は、星宮さんのことを冷ややかな目でジッと見つめる。
その一方で、星宮さんは顔を真っ青にして、自身の手元を見ている。
「ともかく、私が言いたいのは、アルファとオメガの間のトラブルを起こして、これ以上宝月の名を汚さないでほしいということです。私だって、学園の悪評が広まって、進学に影響が出てしまっては困りますから……。今回は警告のみということで、星宮さんのことは春川さんのお母様には報告しないでおきます。ただし、再びあなた達が一緒にいるところを目撃すれば、警告なしにお母様へ報告するので覚悟するように」
すると、青山会長は突然中腰になり、ベンチに座って呆然としている星宮さんの肩に手を置いた。
星宮さんは、ビクッと身体を跳ねさせる。
「アルファのあなたは、きちんと考え、分別ができる脳を持っているはずでしょう?欲望の赴くままに行動する猿と違って、自制心を持って行動ができる――。あなたは自制心のない猿に成り下がらないように」
青山会長はそう言い残すと、その場を後にした。
あの人、私のことを1度も見ようともしなかったな――。
青山会長は、突然私たちに質問を投げかける。
宝月学園にオメガを通わせている理由?そんなこと1度も考えたことがなかった。
私たち3人は困惑しながら、互いに顔を見合わせる。
そんな私たちを見た青山会長は、呆れたようにため息を吐く。
「それは――、国から補助金が下りるからです」
「えっ……」
私は言葉を失った。
「私立高校では、毎年1人以上オメガを入学させれば、その都度国から補助金が貰えるのです。そういったメリットがなければ、アルファとオメガを同じ学校に通わせるなんて、トラブルが起きかねないリスクを取るわけがないでしょう」
青山会長の話を聞いて、私はようやく合点がいった。
中学時代、「我が校に入学しないか?」と言ってきた宝月の先生が、なぜあんなにも必死に私とお母さんを説得していたのか。
それは、私を入学させなければ、国からの補助金が貰えないから――。
「アルファとオメガが共存できる環境を整えている、というのが宝月の自慢なのに、これ以上校内でアルファとオメガの間でトラブルを起こされては困ります。去年の年末に、1年生のオメガの売春行為が発覚したばかりだというのに……」
「えっ!?」
「えぇっ!?」
青山会長の言葉に、私と星宮さんが驚愕する。
売春行為?
去年の1年生のオメガって、橘先輩のことじゃ――。
――その子はそういうのじゃないからダメだよ。――っていうか、僕以外の園芸部員はダメだから。
――橘くん、もう水瀬くんたちとは関わらないって言ったよね?あれ、嘘だったの?
――でも、ああいうことするのは本当に好きな奴だけにしなよ。じゃないと、僕みたいになっちゃうよ。
私は、橘先輩と東部長の数々の言葉を思い出す。
あれって、全部売春行為に関係していること?
じゃあ、橘先輩と水瀬先輩の関係って――。
「あら?星宮さんと春川さんはご存じなかったの?去年、校内で1年生のアルファとオメガの間で売春行為が横行していたのです。この件は、関わった生徒の停学処分だけで外部に漏れないように内々に処理されましたが、生徒の間では有名な話でしたから、てっきりお二人も知っているものだと……」
青山会長は白々しい感じで話す。
目の前が真っ暗になる。
橘先輩が、そんなことを……?
確かに橘先輩は変わった人だとは思うが、あの人が売春行為をしていたなんて信じられない。
もしかしてこの人、私が橘先輩と部活仲間だから、わざとこの話をした?
橘先輩の悪い話を聞いて、私がショックを受けると思って?
いや、流石に考え過ぎだろうか。
青山会長は、星宮さんのことを冷ややかな目でジッと見つめる。
その一方で、星宮さんは顔を真っ青にして、自身の手元を見ている。
「ともかく、私が言いたいのは、アルファとオメガの間のトラブルを起こして、これ以上宝月の名を汚さないでほしいということです。私だって、学園の悪評が広まって、進学に影響が出てしまっては困りますから……。今回は警告のみということで、星宮さんのことは春川さんのお母様には報告しないでおきます。ただし、再びあなた達が一緒にいるところを目撃すれば、警告なしにお母様へ報告するので覚悟するように」
すると、青山会長は突然中腰になり、ベンチに座って呆然としている星宮さんの肩に手を置いた。
星宮さんは、ビクッと身体を跳ねさせる。
「アルファのあなたは、きちんと考え、分別ができる脳を持っているはずでしょう?欲望の赴くままに行動する猿と違って、自制心を持って行動ができる――。あなたは自制心のない猿に成り下がらないように」
青山会長はそう言い残すと、その場を後にした。
あの人、私のことを1度も見ようともしなかったな――。